参考情報:健康に関する豆知識:栄養素についてのトピックス

健康に関する豆知識を、参考情報として提供いたします。

※学説や定説は、研究成果や臨床結果などにより日々変更され、進化発展していきます。
書かれていることや教えられたことをそのまま鵜呑みにするのではなく、必ずご自身でも調査および勉学を継続し、常にアンテナを立てておくことを心掛けるようにしてください。

三大栄養素とダイエットPART3:ダイエットと【運動による基礎代謝アップ】

本題に入る前に、再度ダイエットにおいて意識すべきポイントを記載しておきますね。

基礎代謝が下がらないよう、必要な栄養素を
 しっかりと食事から摂る。

◇運動により、筋肉量を増やして基礎代謝
 上げる。

 有酸素運動により、糖質・脂質を利用した
 エネルギー産生効率を上げる。

基礎代謝を上げるべく、“体を温める”。

これがダイエットの基本、というか鉄則です。
つまり、余分な脂肪がつなかいように食の改善を行いつつ、すでについた余分な脂肪を落とすべく運動を取り入れ、基礎代謝アップを併せて行うことが必要不可欠、ということです。

PART3では、【運動による基礎代謝アップ】【体を“あたためる”】の切り口から見ていきたいと思います。

運動による基礎代謝アップ

1.筋肉をつけて基礎代謝を上げる。

代謝の70%は基礎代謝で、そのうち意識的に数値アップを図れるのは筋肉で25%(~40%)を占めています。
つまり筋肉量を増やせば、安静時でも糖質や脂質を使ってエネルギーを産生してくれる、ということで、運動時にはさらに消費量アップが期待できるのです。

有効なのは筋トレです。
筋肉量の割合は、腰から下が60~70%ですので、まずは下半身を中心に筋トレを行うことをおすすめします。
特に脚部の筋肉を強化することによって、滞りがちな血流やリンパの流れの改善も期待できるので、冷えやむくみの緩和にも繋がっていきます。

いきなり気合いを入れてジムに入会し、本格的に行う必要はありません。
まずは普段できることから始めましょう。
例えば、エスカレーターをやめて階段を使う、空いた時間に踵の上げ下げ運動を行う、早歩きのウォーキングなど。なにより継続することが大切です。

体が慣れてきたら、強度を上げたり、ジム通いをするなどして、レベルアップをしていけばよいと思います。
その際の筋トレ時のポイントは、エクササイズではしっかり追い込むこと、超回復を狙って次のトレーニングまでに48時間開けること、です。

2.しっかり食べて筋肉量を維持する。

筋肉を構成するタンパク質は、日々スクラップ&ビルドを繰り返し新陳代謝がなされています。
1日に約2%が入れ替わり、アミノ酸の再合成率は70%なので、PART2とも関連しますが、必須アミノ酸(特にBCAA)を含む良質なタンパク質を毎日摂取し、運動を継続することが大切なんです。

短期間にやせようとして、運動を交えず過度に食事を減らしたりすると、栄養素不足から筋肉が再合成できず、またメインのエネルギー源である糖質が不足すると、活動エネルギーを産生するために筋肉が分解されてしまい、基礎代謝が落ちる、という状態に陥ってしまいます。

それをうまく痩せれた、と勘違いした捉え方をして油断してお菓子などをほおばると、一気に脂肪がついてしまいます。
これが食事制限だけでダイエットをしている人がリバウンドしやすい理由です。

筋トレでムキムキになって女子力が下がってしまったらどうしよう...
という心配は要りません。
アスリート並みの相当な追い込み方をしなければ、分泌するホルモンの関係もあり、女性の場合はムキムキになることはまずありませんので。

3.有酸素運動で体脂肪を減らす。

糖質の血中濃度が安定および肝臓や筋肉中のグリコーゲンが尽きていない状態下では、エネルギー源としては脂質よりも糖質が優先的に使われます。

糖質が枯渇した状態下では、PART2で触れてきた通り糖新生がはたらきますが、脂質よりも筋肉が分解され、そのタンパク質が優先的に使われます。

つまり、脂質はエネルギー源としては使われにくい(落ちにくい)、ということです。
しかし努力次第で、脂質が使われやすい体に変えることはできます。
そのキーワードが“有酸素運動を継続すること”です。

まずは糖質や脂質がエネルギー源として利用され、活動のためのエネルギーに変わるその仕組みからご説明します。

筋肉の稼働、肝臓における三大栄養素の代謝やアルコールなどの解毒処理、胃腸の消化吸収、腸の蠕動運動、体の修復(細胞の修復)など、体内で広い意味での代謝が行われる際には、そのエネルギーとしてATP(アデノシン三リン酸)が使われます。

車を動かすのにガソリンが必要なのと同様に、ヒトが活動するには必ずATPというエネルギーが必要である、ということです。

ATPは、細胞内のエネルギー産生工場であるミトコンドリアで生成されます。
その際にエネルギー源(原料)として利用されるのが、糖質(グルコース)と脂質(脂肪酸)です。

 ※ミトコンドリアは、1つの細胞に数百~
  数千個あり、その約80%は筋肉に集中
  するとされています。
 ※ミトコンドリアでは、TCAサイクルと
  電子伝達系という2つのシステムにより
  ATPを生成します。

通常は即効性のあるメインのエネルギー源であるグルコースが優先的に利用されますので、いかに速く脂肪酸を利用するモードに切り替えられるかがカギとなります。

それが有酸素運動です。
目安としては、ちょっとキツイかな?というレベルの長く続けられる運動で、速めのウォーキング、ジョギング、スイム、バイクなどを、文字通り酸素をしっかりと取り込みながら行う運動です。

有酸素運動を長く続けるには、たくさんのATPが必要です。
グルコース1分子から生成されるのは38ATPで、これでは十分ではなくすぐに枯渇してしまいます。
そこで台頭してくるのが脂肪酸。
脂肪酸1分子からはなんとその約3.5倍の129ATPが生成されるので、有酸素運動下ではエネルギー源として効率のよい脂肪が優先的に利用される、というわけです。

これが “体脂肪を減らすには有酸素運動が有効” と言われる理由です。

ただし、ここで注意点をひとつ。
脂肪が利用されるには、

中性脂肪の分解(脂肪酸+グリセリン)
→脂肪酸の細胞内への取り込み
→脂肪酸の活性化
ミトコンドリアへの取り込み(カルニチンシャトル)
→アセチルCoAが生成される
ミトコンドリアのエネルギー生成システムであるTCAサイクルに入る

という複雑な工程(β酸化)があり時間を要するため、また脂肪分解にスイッチを入れるのは糖質を使ってATPを生成するシステムである解糖系であるため、スターター的なエネルギー源として糖質(グルコース)が必要になります。

BBQで例えるなら、着火剤は糖質、薪は脂質です。
ですので、糖質オフ中でも完全に摂取ゼロにはしないように気を付けてください。

4.有酸素運動の継続でミトコンドリアを増やし活性化させる。

有酸素運動と脂肪の利用について理解したところで、さらに深いところまで見ていきましょう。

脂肪(および糖質)を利用してエネルギーを産生するのは、前述の通りミトコンドリアです。
つまり、エネルギー産生工場であるミトコンドリアの数を増やせば、そしてシステムであるTCAサイクル(および電子伝達系)を活性化すれば、より脂肪を多く素早く消費できる土壌を育てることができる、ということです。

ここでまたまた登場するのが有酸素運動。
有酸素運動を行うことで、ミトコンドリアの数は増えるのです。
さらに有酸素運動を継続することにより、脂肪を利用したTCAサイクルがスイッチオンされやすい体、ちょっと動いただけで体脂肪が使われる体ができあがるのです。

さらに言うと、有酸素運動で筋肉の毛細血管が増え、グルコースや脂肪酸を始めとする栄養素や酸素の細胞の隅々への運搬力がアップ、代謝アップに繋がります。

まとめますと、“健康的に脂肪を落とすには運動が必須→運動をしないと脂肪は落ちない”、ということですね。
このフレーズを肝に銘じていただければと思います。

最後に運動を行う際のポイントをひとつ。
筋トレと有酸素運動を連続して行う場合は、必ず筋トレを先に行ってください。
ランなどの有酸素運動を先にやってしまうと、アドレナリンと成長ホルモンの分泌時間差の関係もあり、筋トレの効果が薄れますので(さらに最後に軽い筋トレを行うとベター)。
なぜ?と疑問に思う方は、実際にやってみるとすぐに体感できるかと思います。

こういった仕組みを理解しつつ、運動を行い、健康的に体重が減ってくるのを体感できるようになる頃には、楽じゃないなぁと感じていた運動も、楽しみに変わっているはずです。

体を“あたためる”

ダイエットにおいて、食の改善、運動による基礎代謝アップと併せて大切なのが、体を“あたためる”です。

体が冷えた状態では、血行が悪くなり、栄養素や酸素を体の隅々にまで届けることができなくなり、せっかく運動する習慣をつけてもその効果が下がってしまいます。

夏場は外は暑いですが、オフィスなど建物の中はクーラーがきいてて、かつビールなど冷たいものを摂取する機会が多くなるため、特に内臓が冷えやすくなります。
深部体温が1℃下がると、酵素活性の観点などもあり、基礎代謝は約12%落ちるとされています。
内臓、特に肝臓・腎臓・腸など深部の冷えは、代謝低下だけでなく、体調不良や免疫力低下をも招きますので
注意が必要です。

 ※詳細は、あたためFAQ:冷えからくる低体温がもたらす5つのものと温熱効果を参照ください。

忘れがちなキーワードですが、体を“あたためる”はすべてにおける基本なので、しっかり念頭に置くようにしてくださいね。

以上、PART1~3の3回にわたって、三大栄養素とダイエットについて書かせていただきました。
個人差もあるので、参考にしていただきながら、それぞれに合ったやり方を見つけていただければと思います。

はっきりと言えることは、とにかくダイエットにおいては、“食の改善と運動をセットで考える”、体を“あたためる”、そして期間限定ではなく“継続する”、ことが大切、ということです。

三大栄養素の特徴を把握し、栄養学の観点から各食材や料理に含まれる栄養素を鑑みながら、必ず運動を取り入れて、ダイエットを行ってくださいね。

三大栄養素とダイエットPART1-糖質・脂質・タンパク質とは?【三大栄養素の特徴】へ
三大栄養素とダイエットPART2-ダイエットと【食の改善】へ

written by staff M.Uchida
2018.06.19更新
2016.07.20

【保有資格】
・健康経営アドバイザー
・米国ISNF認定 サプリメントアドバイザー
・NPO日本食育インストラクターPrimary
・AEAJ認定 アロマテラピーアドバイザー
・NHA認定 ハーバル・フード・マイスター